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イキガミ

イキガミ
監督:瀧本智行
原作:間瀬元朗 脚本:八津弘幸、佐々木章光、瀧本智行
出演:松田翔太、塚本高史、成海璃子、山田孝之、柄本明

五つ星評価:★★★

間瀬元朗原作の同名コミックを映画化。もし自分が24時間後に死ぬとしたらどうするだろうか。

国民に死の恐怖を通して、生命の価値や尊厳を再認識させようと国家繁栄維持法(国繁)を制定し、全ての国民は小学校入学時「国繁予防接種」がなされ、1000分の1の確立で選ばれた若者は命を強制的に国家によって奪われる。選ばれた若者は残された24時間を有意義に過ごすため、役所から死亡予告証が届けられる。これは逝紙(イキガミ)と呼ばれ、藤本賢吾(松田翔太)は新人の配達人として、該当者に逝紙を配る。

本作は主人公藤本賢吾の物語というよりも、イキガミを届けられた若者3組のエピソードをオムニバス構成に近い物語にしてある。
その3つのエピソードも、夢間近のミュージシャン、政治家の親を持つ引きこもりの青年、盲目の妹を持つ兄、と単に配達側の話とはせずに数人の届けられる側の話として描いていることで、中だるみなく上手く纏められている。これは良い選択だ。

届けられた若者や周囲の反応、感情、行動はリアルで安っぽくはあまり感じない。そこらのマンガ映画の嘘っぽさとは全く違う。これは評価出来る。

また観客を配達人藤本賢吾の視点に合わせることで、国が国家繁栄の名の下に下す死に対して疑問を同じように抱くような作りとなっている。3話構成な分、その推移も分かりやすく、感情移入しやすい作りとなっている。管理社会の閉塞感も演出として上手い。

若者の死に対して"心からのご冥福をお祈りしています"と言った言葉は、この世界ではただのオウム返しのような空虚なものとなっている。正しく、格差社会によって切り捨てられる底辺の人々を暗に示している。また、戦時中お国のためとして、国からの赤紙で戦地に駆り出される若者達とも被る。我々の信じて疑わないものが"本当に必要なものなのか?"そんな社会に対しての、アイロニカルなメッセージとしても受け取るれる。

それにしても月に数十人もの人の死が報告され、下を向く人々ばかりの世界で、よくGDP、出生率が右肩上がりになるものだと思ってしまう。このあたりは、命の価値の再認識は納得できても、少し引っかかる人もいるかもしれない。

描かれる物語は最後に自分の本当のやりたいことを成す者。鬱屈した本当の思いを親に向ける者。兄として、妹の明日に身を捧げる者。どのエピソードも感動ドラマとして泣けるであろう。事実、泣いている人も多かった。が、笹野高史演じる石井課長が"死によって引き立っただけ""それで潤う者もいる"といった言葉にある様に、安直に泣ける映画として受け取って欲しくないことを示しているのだろう。

原作は連載当初から星新一のショートショート「生活維持省」の酷似していることを指摘されてはいるが、おそらく着想は得ているだろう。原作を知る者にとっては、映画化にあたり原作の閉塞感が薄らいでいることが気になるかもしれない。

近年はマンガの映画化が多いが、本作は映画向きで上手く纏められた部類だと思う。
ただ単に泣ける映画としても楽しめるが、そこで描かれているものも現代向きのテーマ。
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