チェンジリング

監督:クリント・イーストウッド 製作総指揮:ティム・ムーア、ジム・ウィテカー
脚本:J・マイケル・ストラジンスキー
出演:アンジェリーナ・ジョリー、ジョン・マルコヴィッチ、ジェフリー・ドノヴァン、コルム・フィオール
五つ星評価:★★★★★
アンジェリーナ・ジョリー主演、クリント・イーストウッド監督による実際に起こったウィネビラ養鶏場殺人事件を元に、その事件に翻弄されたクリスティン・コリンズ夫人に焦点を当て映画化。
1928年、シングルマザーであるクリスティン・コリンズ(アンジェリーナ・ジョリー)の息子ウォルターが姿を消す。その5ヵ月後、警察からウォルターを保護したと朗報が入るが、その男の子は全くの別人だった。彼女は息子ではないことを主張するも「精神異常者」として精神病院に収容されてしまった。
事実は小説より奇なりとまではいかないが、実際にこのような事件が起こったことにまず驚かされる(もちろん脚色はあるのだが
事件の全体像自体は、直ぐに検討がついてしまうが、そうであっても飽きさせずに長時間見せるのは凄い。やはり構成と見せ方が上手いからだろう。
次から次に主人公にとっての障害が現れ、これでもかと観客に憎憎しさを演出しつつ、ちゃんと観客の期待する通りの流れになっていくカタルシスは事実とはいえ秀逸。
ただ単に息子が行方不明になってしまったミステリーとはならず、不当な扱いを受けるクリスティンから、真実が露になり社会全体が動いていく様まで二転三転する。
世の中の不条理、女性問題、国家権力の腐敗、犯罪の狂気、その中での希望・・・。
作品に込められた要素は様々。
それでいて、頑ななまでに息子を探し続ける母の思いという作品のメインテーマはあやふやにならずにいる。
1920年代の時代風景の再現性といい、アンジェリーナ・ジョリーの熱演から、脇役人まで全てが完成されているからこその重み。
多角的な目線で単純ではない現実をちゃんと形作れるのは、流石クリント・イーストウッドといったところ。
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