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ゼロの焦点

ゼロの焦点
監督:犬童一心 原作:松本清張 脚本:犬童一心、中園健司
出演:広末涼子、中谷美紀、木村多江

五つ星評価:★★★

松本清張誕生100周年を記念し、アカデミー賞に輝く3女優を共演の社会派ミステリー。

幾度となく映像化されてきた本作は、社会派ミステリーの原点であり、松本清張の代表作である。

「犯人は誰だ?」と推理モノを謳っているとはいえ、どちらかといえば米軍占領期と戦後の変遷期における女性の社会参加を背景としたドラマであり、そこから生み出される物語の悲壮感は流石。

犬童一心監督が舞台作りには拘りに拘りぬいたと言うだけあって、雪国、断崖絶壁など、2時間ドラマにおける定番モノが散りばめられており、昭和30年代の舞台設定は素晴らしい。韓国ロケにまで行っただけあって、今回は東宝もよく頑張っている(一部CGはあるが)。

また、古典的2時間ミステリーを踏襲した、人物のクローズショットを基としたネチネチとしたカメラワークも手堅く、戦後の重苦しさまでは感じなくても、十分にスリリングな雰囲気を醸し出している。

ただミステリーとしては、それほど期待すべきものではないのはしょうがないとは言え、後半の性急過ぎて粗さが目立ってしまっているのはいただけない

いくら登場人物が少なく、観客がある程度分かっているとはいえ、禎子が急に名探偵っぷりを発揮し、真相にたどり着くには「何をもってそう行き着いたのか?」が不足しており、違和感がある。これは室田義作、警察などの人物描写においても言えることだ。

更に致命的なのは、メインであるはずの広末涼子が余りにも影が薄すぎ、翻弄される女性としても、語り部としても物足りなさがあることだ。演技がダメなのではなく、彼女そのもののキャラ、佇まいや可愛げのある声というのが、過去を知らない夫を追う芯の強い妻として、まだまだ不適。これは、真相解明部分での明晰っぷりにも輪をかけて不自然さが出てしまっている。単純にキャスティングとして弱い。

これでは後半における鬼気迫る中谷美紀の演技に食われてしまっていると言われてもしょうがない。中谷美紀の目の演技は特筆して素晴らしく、作品の出来における悲壮感の元は彼女といっても差し支えない。

残念とまではいかないものの、型だけがいいだけに惜しい。とはいえ、100周年で何度も映像化されている作品をなぜ選ぶのか?とは思う。アカデミー賞3女優を共演させたいがためだったならば、安直過ぎる。
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