備忘雑録

Category: スポンサー広告

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Category: 映画 > 国内

Comment (0)  Trackback (0)

告白

告白
監督・脚本:中島哲也 原作:湊かなえ 製作総指揮:市川南 音楽:金橋豊彦
出演:松たか子、岡田将生、木村佳乃

五つ星評価:★★★★★


 デビュー作ながら本屋大賞も受賞した湊かなえの同名小説の映画化。

 氏の小説の特徴といえば、ある出来事を起点としながら、語り手を変えて多視点的に展開させ、同じ事柄であっても違う意味を持つのだと物事を多面的に見せると共に、その裏にある人間の思惑、エゴを躊躇なく描き、更なる狂気を紡いでいく、その綿密な構成に面白さがある。

 そうした人間の情念を描いた原作をどう纏めるか苦心した様が垣間見える。モノローグ(独白)で展開させるのはそのままながら、更に緻密に語りの構成を変え、分り易くありながら、且つ優美なまでにそれぞれの"事実"が組み上がっていく様は見事。また、より"リアル"に学校というバックボーンを補完しつつ、映像と語りによって主観、客観、真実、虚実が混淆する、映像化にあたっての脚本作りが余りにも秀逸

 中島監督のこれまでの作品「下妻物語」、「嫌われ松子の一生」等では彩度が際立ち、毒々しいまでの独特の作劇が特徴ではあったが、本作は全体のトーンを落とし、無機質な画に徹する事で、少年少女、大人の行動や心象を殺伐として映し出している。でありながら、映画として演出、編集における監督の非凡なセンスがむしろ際立ち、全く飽きさせる事はない。

 例えば、引き気味のショットにて事象を客観的、冷徹に見せたり、短いカットで繋いで心象の移り変わりをテンポ良く見せたり、または時間を反復させる事で映し出される内容を鮮やかに偽り、はたまたスローで見せたり、逆行させてみたりと、起きてしまった事への不快感や不可逆を徹底的に煽る映像コントロールには感服してしまう。

 また、そういった映像面で秀でてるだけでなく、音楽面でもRadioheadやAKB48、やくしまるえつこなど普通の楽曲を多分に使うことで、場面場面を華やかに、それでいて不協和音として同化、異化効果を最大限発揮しており、これら音楽の使い方も見事。サントラが欲しくなる。

 熱血教師を演じた岡田将生、過保護な母親を演じた木村佳乃らキャスト陣も素晴らしいが、何より子供達がこれだけの内容をよく演じきったなと素直に関心してしまう。幼くあり、利口であり、脆くもある。そういった13歳という"姿"を演じきっている。いや、彼らだからこそと言うべきか。

 主演の松たか子は近年舞台仕事が多く、余り表で見る機会はなかったが、本作の復讐鬼の顔にも聖母の顔にも見せる強烈な怪演ぷりは素晴らしい。ラストの表情は普通の女優ではなかなか出来るものではない。ホントにゾクゾクとした。脱帽。

 無垢故に残酷、想うが故に残酷。ラストの描写に慈愛の狂気が加味されている事で、更に鮮烈で爽快、そして哀しい。語りきれない描写はあるものの、原作の読後感を更に凌駕しているという意味では、素晴らし過ぎる映像化だ。久しぶりにメジャー配給作品で"凄いモノ"を観た気分に。

 本年度に公開された実写邦画では現状トップ。中島哲也監督の作品の中でも群を抜いて良く出来た傑作だと思われるので、少しでも興味があれば是非とも劇場で観ることをオススメします。
関連記事

Comments






About

SUKEKIYO

Author:SUKEKIYO
些末な事柄や趣味を備忘録として残す私的雑記

◆虚心坦懐
◆格致日新
◆"やらない、考えない"で悪罵を垂れるのはみっともない
◆原典、関連作品は出来る限り触れる心構え
自己満足と自戒を込めた点取表
-★1(~30):ダメダメ
-★2(~50):イマイチ
-★3(~70):普通に
-★4(~85):イイネ!
-★5(~100):サイコー!!

Category
Counter
Log



SUKEKIYOさんの読書メーター
SUKEKIYOさんの鑑賞メーター
Recommended
「催眠術Re」応援中!

12345678910111213141516171819202122232425262728293006 2017
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。